サスティナブルファッション① 【サスティナブルをわかりやすく解説】

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こんにちは。今回はファッションと環境についての話をしていきます。

SDGsについて調べていくと環境問題は大きなテーマとして様々な目標に出てきますが、環境に大きな負荷をかけている産業としてファッション業界の話をよく聞くと思います。

僕自身ファッション業界で働いていますのでファッションが与える負荷についてなんとくなく分かっているつもりでした。大量生産、大量消費問題や付随する労働環境問題であったり。いわゆるニュースになりやすい内容です。

実はニュースでは取り上げられないファッション産業のビジネスモデルの根本的な環境負荷がとても大きいことが問題になっています。

そこで「ファッションと環境」というテーマを現状把握とこれから必要なアクションの2回に分けてご紹介していきます。

サスティナブルファッション① 【サスティナブルをわかりやすく解説】

使用後の服が捨てられたり焼却されることが問題になっているのはよく聞くと思いますが、作られてから捨てられるまでの一生を考える人は少ないと思います。実は複雑な製造工程と付随する環境負荷が隠れているます。

服の一生を考える

①製造工程

服ができるまでの4STEP

  • 原材料調達・・服の材料となる素材を集める
  • 紡績・・原材料を生地にする
  • 染色・・製品イメージに合わせたカラーに染める
  • 裁断・縫製・・製品の形をつくる

製造工程では主に上の4つの作業が様々な工場で分業して行われています。

ここで重要なポイントは分業されているがゆえに様々な企業が関係しているため、それぞれの工程の労働環境や環境に与えるインパクトがどのようなものなのかわかりづらいということろです。

例えば野菜が店頭に並ぶ際には、生産地、栽培環境、農業者の名前などの情報がわかると思います。最近よく聞くようになったトレーサビリティとはまさに流れを可視化することを指します。

製造過程を追跡可能な状態にして安心して着用できる服作りや環境負荷を計測可能な運用方法が求められています。

②販売・利用・廃棄

販売後4STEP

  • 販売・・店頭に納品、販売される
  • 利用・・消費者が購入し利用
  • 廃棄・・不要となった服はごみとして廃棄、焼却や埋め立てされる
  • 回収・・販売店やリサイクル業者が回収または寄付という形で回収。フリマや買取りに出すケースも

販売・利用された後ごみとして廃棄される、もしくはリサイクルに出すという選択肢があります。最近ではフリマアプリで出品したり、買取りに出すという選択肢も広まっています。

しかし、現状はまだまだ廃棄するケースが最も多い手段となっていますので後半パートで紹介します。

ファッション産業全体の環境負荷

ここが今回のテーマで最も重要なポイントです。製造過程の中でいったいどのくらいの環境負荷がかかっているのか見ていきます。

天然繊維の環境負荷

主に栽培時の水消費や化学肥料による土壌汚染

化学繊維の環境負荷

主に石油資源の使用、工場でのCO2排出など

原材料調達から製造段階までに排出される環境負荷の総量(年間)

年間の排出総量

  • CO2排出量・・約90,000kt
  • 水消費量・・約83億㎥
  • 端材等排出量・・約45,000t
  • 上記+化学物質による水質汚染

膨大な数字過ぎてイメージが付きにくいので服1着当たりの排出量に換算すると、

服1着当たりの排出量

  • CO2排出量・・約25.5kg→ペットボトル(500mi)が約255本分
  • 水消費量・・約2,300ℓ→浴槽約11ℓ分
  • 端材等排出量・・約45,000t→服約1.8億着分※1着約0.25kgで計算、実際はリサイクルに使われている

服1着あたりの環境負荷がとても大きいことがわかりますでしょうか。

私たちが店頭で手に取る一着一着の洋服、これら服の製造プロセスではCO2が排出されます。原料となる植物の栽培や染色などで大量の水が使われ、生産過程で余った生地などの廃棄物も出ます。

服一着を作るだけでも大きな環境負荷がかかっていることがよくわかります。

過剰な供給と値下げ合戦がもたらすもの

冒頭でもお話ししましたが大量生産・大量消費問題は比較的よく聞くフレーズですが、商品価格についてもセットで話す必要があります。

以下の表は服の供給量と市場規模の推移、服一枚当たりの価格推移を表しています。

国内アパレル供給量・市場規模の推移と衣服一枚あたりの価格推移のグラフ

ここでわかるとおり、国内における供給数はここ30年間で増加し、市場規模は縮小。服の単価は年々安くなっています。大量生産・大量消費が拡大し服のライフサイクルの短期化による大量廃棄への流れが懸念されています。

一人当たりの服消費量・利用状況(年間)

購入枚数・・18枚

手放す服・・12枚

着用されない服・・25枚

購入枚数より手放す枚数が少なく、また着用されない服、いわゆる箪笥の肥やしが25枚という状況です。年間で購入数-手放す服が6枚なので、同じペースで購入を重ねていくと服であふれかえってしまうのは簡単にイメージできますよね。

ここでもわかるように原因の一つは購入者が買いすぎている問題もあります。要するに必要以上に需要があると見えてしまうので、企業側は過剰に生産を行うというサイクルが生まれています。購入者の意識改革が必要であることがわかります。

少し脱線しますが、このブログでは豊かな暮らしを目指すことを一つの目標としています。こういった背景を知り、服を減らして不要なモノを失くしていくと様々なメリットがあります。

このメリットについてもご紹介していますのでぜひチェックしてみてください。

あなたが服を手放す手段は?

利用後の流れとして廃棄と回収があることをご紹介しましたが、普段不要となった服をあなたはどのようにあつかっていますか?現状はやはり多くの人がごみとして廃棄しています

古着として販売:11% 譲渡・寄付:3% 地域・店頭での回収:11% 資源回収:7% 可燃ごみ・不燃ごみとして廃棄:68%
サスティナブルファッション より

全体の約7割がごみとして廃棄されており、古着として再流通されたり、資源として回収あされるケースはとても少ないです。

もちろんゴミに出す方法が一番簡単だしめんどくさくないですよね。ですがこの問題については消費者が一人一人が行動を変えることで変えられる問題です。

最近では店舗に回収ボックスを置いたり、買取に出す際に不要なモノは引き取ってくれたりとサービスも広まってきています。

例えば新しい洋服を買いに行くとき、目的地の近くに不要な服を回収すしている場所がないか探して、外出のついでに持っていけば回収に協力することが出来ます。同時にクローゼットが増えなくて済みますし、買い物の質も変わるはずです。

普段の生活に取り組めるような”すきま”を探して行動してくことが楽しく行動するポイントかなと思います。

ごみに出される量と焼却・埋め立て量

ごみに出される衣服の総量と処理方法:焼却・埋め立て95%(484,000t)+再資源化5%(24,000t)=可燃・不燃ごみの総量→可燃・不燃ごみに出される衣服の総量508,000t 1日あたりに焼却・埋め立てされる衣服の総量(平均)1,300t/Day→大型トラック130台分
サスティナブルファッション より

服がごみとして廃棄された場合、再資源化される割合は5%程でほとんどはそのまま焼却・埋め立て処分されます。その量は年間で約48万トン。この数値を換算すると大型トラック約130台分を毎日焼却・埋め立てしていることになります。

毎日廃棄される大量の衣服を処理するためにも、環境負荷が生じており、現状を変えてゆく必要があります。

私たちが取るべきアクションとは?

今回は現状を把握するためファッション産業の構造や製造工程における環境負荷についてご紹介しました。

次回は私たち消費者が起こすべきアクションについてお話ししていきます。

最後までご覧いただきありがとうございました。

【サスティナブルファッション ②】はこちらから

今回の情報元は環境省の「サスティナブルファッション」というデータです。かなりわかりやすい作りになっているので気になる方はチェックしてみてください。

この記事を書いた人

Usk_ユースケ

Usk_ユースケ

ファッション業界のデジタル領域勤務。
コロナ禍をきっかけに価値観が大きく変化し、雑記ブログ「TheCycle」をスタート。イイモノ・イイコトをブログで発信中
・stand.fmでながらで聴くラジオと歌ってみた&オリジナル曲配信中
・instagramはコーヒー記録と歌ってみたを発信

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