ウイグル問題 まとめ ユニクロ 無印良品 【わかりやすく解説】

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ウイグル問題 まとめ ユニクロ 無印良品 【わかりやすく解説】

今回はこれまで解説してきたウイグル問題について一つの記事にまとめて解説していきます。日本の大手企業が関わっている問題でもあり、僕たちの生活にも影響のある内容ですのでぜひ最後までご覧ください。

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ウイグル問題とは

新疆ウイグル自治区で採れる綿花は「新疆綿」と呼ばれ、高品質なことで知られていますが、ウイグル族の強制労働や大量虐殺など人命・人権問題が存在することが指摘されています。

各国の調査機関や複数の人権団体から百万人以上のウイグル人等が再教育キャンプに強制収容され、イスラム教徒のウイグル人に対する「中国化」の洗脳教育や、一部で強制労働が行われていると国際社会から指摘されている。二〇一八年夏、国際連合人種差別撤廃委員会は百万人のウイグル人が強制収容所に入れられていると報告、二○一九年には国際調査報道ジャーナリスト連合は、同地区の収容キャンプの実態が詳述された中国政府の内部文書を公表している。

中国によるウイグル人への人権侵害に関する質問主意書

衆議院の質問主義書からもわかる通り、この問題は以前から各国の調査団から指摘されていて、2018年に国連からも人権弾圧の報告があったことで、国際的な問題として捉えられたという流れがあります。

日本の大手企業が報告対象に

中国各地でウイグル人の強制労働を下請けのサプライチェーンなどで使っている主要企業として合計82社が挙げられ、この中に日本企業14社の名前が記さています。

 この14社(ブランド)が、日立製作所、ジャパンディスプレイ、三菱電機、ミツミ電機、任天堂、パナソニック、ソニー、TDK、東芝、ユニクロ、シャープ、無印良品、京セラ、しまむら

日本企業大手の名前が連なっているところに影響の大きさが伺えます。

ユニクロが炎上した理由とは?

それは中国の新疆ウイグル自治区をめぐる問題について、ファーストリテイリング柳井社長の発言が大きな引き金となりました。

「人権問題というよりも政治問題であり、われわれは常に政治的に中立だ」

この発言により、ウイグル問題は政治的問題と認識していて、自社はこの問題に関与せず現状維持する=容認すると受け止められたことだと思います。

NHKなどの報道によると、柳井氏は新疆ウイグル自治区から調達した綿花を使用しているかという記者の質問に対し、強制労働などの問題がある工場との取引は否定したうえで、「これは人権問題というよりも政治問題。われわれは政治的に中立なんで。これ以上発言すると政治的になりますんで、ノーコメントとさせていただきます」と回答を控えたという。

HUFFPOSTより

この発言の裏側には、言及することで中国国内でユニクロ不買運動が起き、中国マーケットに大きなダメージが出ることを懸念したといわれています。

事実、新疆産綿花を調達しない方針を示唆していたH&Mなどへの不買運動が拡大しています。今後アジアのマーケットを拡大する方針のようなので、どっちつかずの態度になっている印象です。

アメリカと中国の政治問題?

一方で新疆綿生産に関して近代化・効率化された環境で強制労働などの人権弾圧の可能性は低いという声もあるようです。ただこれもいわゆる”専門家の証言”であり必ずしも信じられる内容ではないかと思います。

そもそも新疆綿は世界の生産量にどれくらい影響を与えているかというと、まず中国の綿生産量は世界1位で、うち84.6%が新疆生産のものとなっているようです。

コロナ禍前の世界の綿花生産量(2018〜2019年)トップ3は、1位が中国(604万トン)、2位がインド(535万トン)、3位がアメリカ(400万トン)で、中国は全世界の生産量(2574万トン)の23%を占めている。また、新疆の綿花生産量(511万トン)は中国生産分のうち84.6%に達しており、新疆綿は、世界の綿生産量の19.8%を占める巨大産業なのである

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一番使用されている綿をアメリカは厳しく規制していることが、裏を返すと中国産の綿使用を減らしつつ、アメリカ国内生産の綿の使用量を増やしていくという思惑が見えるということもあるようです。

そういった視点から、人権問題だけでなく政治的な問題も孕んでいるのがウイグル問題と言えるのかもしれません。

日本を代表するアパレル企業のユニクロはこういった問題を意識しているかもしれませんが、政治的問題だからノーコメントという発言は、炎上しても仕方のない表現だったと言えます。

中国に対する日本政府の対応は?

各国と日本の対応の違いはどんな状況なのか見てみると、

アメリカ中国系企業・団体に禁輸措置
綿製品輸入禁止 トマトなど関連商品禁輸措置
新疆生産建設兵団の製品禁輸措置
EU・イギリス・カナダ中国当局者の資産凍結・渡航禁止

アメリカの対応からわかる通りかなり強い制裁を敷いており、EU・イギリス・カナダも明確に対応しています。

一方日本は日米共同声明で「深刻な懸念を共有する」というだけで具体的な対応は何もないという現状です。

日本だけ欧米に比べて対応が出遅れていて、「様子見している」と思われても仕方ない状況です。また、各国の対応を「制裁」「貿易管理(輸出、輸入)」「人権デューデリジェンス」の3つに分けた場合、日本は制裁と貿易管理の対応は全く行っておらず、人権デューデリジェンスは「企業の対応に期待する」という企業任せの方針になっていると言います。

人権デューデリジェンスとは

人権デューデリジェンス(Due Diligence)とは、人権に対する企業としての適切で継続的な取り組みのことです。具体的には、人権への負の影響とリスクを特定し、リスクを分析・評価して適切な対策を策定・実行するプロセスのことをいいます。

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日本の対応が招く結末

このような政府としての対応(行動)がないことや、企業任せの方針では「日本が人権問題を軽くみている」と世界から見られてもおかしくありません。

企業単位で対応を行うことのリスクとしては、人権デューデリジェンスの観点から輸入・輸出をやめたりすると、中国側から反感をかう一方で、やめてしまうと欧米からは非難をうける可能性があるなど板挟みの状態になってしまします。

そんな状態にならないために日本企業として法制化をして、政府の判断で政府が矢面に立って貿易管理をすることで企業活動が安全に行うことができると言います。

このように企業運営にも関わる事態になる可能性も考えられるため日本政府として明確な対応方針(行動)を打ち出す必要があります。

なぜ日本企業は明確な対応ができないのか?

日本企業が人権デューデリジェンスの観点から貿易管理できない理由はなぜなのか?

それは、一部の政府関係者から中国から何らかの制裁が来る可能性を危惧しているとのこと。また経済・産業界からは余計なプロセスが増えるからやめてくれという声が上がっているとも言います。

貿易管理は中国だけでなく取引を行うすべての国に対して行うべき対応なのに、中国ばかりを見ているのはおかしなことです。もちろんマーケットの大きさが関係していると思いますが、人権問題がある国との取引がどのようなリスクがあるか考えるべきです。

日本だけ何も行わないとなると欧米からマイナスな評価をうけることも大きな問題だと思います。

日本政府には明確な対応を打ち出して、中国との付き合い方だけでなく欧米との連携、日本企業の未来を真剣に考えてほしいと思います。

まとめ

ウイグル問題について日本企業が表に出てきたことで、日本政府や企業の人権問題に対する意識・行動を見直す機会になっています。

生活の中で何気なく購入しているモノが実はサプライチェーンの中で人権問題に加担している商品だったとしたら、消費者は買い物という形で関与していることになります。

この人権問題の流れに不本意に飲み込まれないようにモノの価格や価値・生産背景を考えてみることが大切だと思います。

最後までご覧いただきありがとうございました。

ウイグル問題 日本は人権でも様子見? 細川昌彦氏 明星大学教授【角谷暁子の「カドが立つほど伺います」】(2021年7月27日)

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この記事を書いた人

Usk_ユースケ

Usk_ユースケ

ファッション業界のデジタル領域勤務。
コロナ禍をきっかけに価値観が大きく変化し、雑記ブログ「TheCycle」をスタート。イイモノ・イイコトをブログで発信中
・stand.fmでながらで聴くラジオと歌ってみた&オリジナル曲配信中
・instagramはコーヒー記録と歌ってみたを発信