人権問題ではなく政治問題?ウイグル問題を考える【ユニクロ 無印良品】
ウイグル問題についてこれまでユニクロの対応、そして日本政府の対応について解説していきました。今回はウイグル問題を政治的な視点にするとどう見えるのかを考えてみたいと思います。
併せて読みたい
指摘された日本企業は14社
新疆ウイグル産の綿を使用しているとして多くの日本企業の名前が上がりました。
新疆ウイグル自治区で採れる綿花は「新疆綿」と呼ばれ、高品質なことで知られていますが、ウイグル族の強制労働や大量虐殺など人命・人権問題が存在することが指摘されています。
こういった国際的な動きからもウイグル問題は、政治的な問題であると同時に人権問題であることは明らかな状況でウイグル族を支援するオーストラリアのシンクタンク調査報告書で指摘されたという形です。
中国各地でウイグル人の強制労働を下請けのサプライチェーンなどで使っている主要企業として合計82社が挙げられ、この中に日本企業14社の名前が記さています。
この14社(ブランド)が、日立製作所、ジャパンディスプレイ、三菱電機、ミツミ電機、任天堂、パナソニック、ソニー、TDK、東芝、ユニクロ、シャープ、無印良品、京セラ、しまむら
日本企業大手の名前が連なっているところに影響の大きさが伺えます。
中国に対する日本政府の対応は?
各国と日本の対応の違いはどんな状況なのか見てみると、
アメリカ | 中国系企業・団体に禁輸措置 綿製品輸入禁止 トマトなど関連商品禁輸措置 新疆生産建設兵団の製品禁輸措置 |
EU・イギリス・カナダ | 中国当局者の資産凍結・渡航禁止 |
アメリカの対応からわかる通りかなり強い制裁を敷いており、EU・イギリス・カナダも明確に対応しています。
無印良品の対応は?
無印良品の対応はどうだったのかというと、ホームページで公開されています。
多くのお問い合わせをいただいている新疆地区は新聞等で報道されている通り、中国産の綿の8~9割を占める広大な産地です。無印良品の綿を栽培する新疆地区の約5,000ヘクタールの農場等については、畑や作業者のプロフィール、人員計画を把握し、栽培スケジュールに合わせて第三者機関を現地に派遣し、昨年も監査を行っています。これまでの監査において、法令または弊社の行動規範に対する重大な違反は確認しておりません。
良品計画ホームページ
第三者機関の監査により問題はないため継続して使用するというスタンスです。欧米の対応をみると新疆綿を使用した製品は規制対象になるので、使用を継続することはこの点で大きな影響をうける可能性があります。
アメリカと中国の政治問題?
一方で新疆綿生産に関して近代化・効率化された環境で強制労働などの人権弾圧の可能性は低いという声もあるようです。ただこれもいわゆる”専門家の証言”であり必ずしも信じられる内容ではないかと思います。
そもそも新疆綿は世界の生産量にどれくらい影響を与えているかというと、まず中国の綿生産量は世界1位で、うち84.6%が新疆生産のものとなっているようです。
コロナ禍前の世界の綿花生産量(2018〜2019年)トップ3は、1位が中国(604万トン)、2位がインド(535万トン)、3位がアメリカ(400万トン)で、中国は全世界の生産量(2574万トン)の23%を占めている。また、新疆の綿花生産量(511万トン)は中国生産分のうち84.6%に達しており、新疆綿は、世界の綿生産量の19.8%を占める巨大産業なのである
buisinessincider
そんな世界で一番使用されている綿をアメリカは厳しく規制していることが、裏を返すと中国産の綿使用を減らしつつ、アメリカ国内生産の綿の使用量を増やしていくという思惑が見えるということもあるようです。
そういった視点から、人権問題だけでなく政治的な問題も孕んでいるのがウイグル問題と言えるのかもしれません。
まとめ
新疆ウイグルの問題は人権問題だけでなくアメリカと中国の政治問題であるという側面をご紹介しました。確かにそいうった政治的な見方もあると思います。
大切なのはそういった情報もある中で自分が何を信じてどう行動するかだと思います。
消費者は買い物という形で企業を支えています。人権問題に不本意に飲み込まれないようにモノの価格や価値・生産背景を考えてみることが大切だと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
決断迫られるファストリ、無印。ほぼ全ての日本人が新疆綿使う現実どう考える?
business insider